まず、地球温暖化がどうなっているか実際のデータを見てみましょう。図1は、アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード研究所が公開している地上表面の大気温度の推移です。縦軸の数値は世界各地の気温測定結果から求められた年間平均気温の変動を1951〜1980年の平均気温を基準として表しています。
1970〜1980年代以降気温の上昇が大きくなっていることがわかります。
ゴダード研究所の地球温暖化情報では、その間の大気中の二酸化炭素濃度推移はどうなっているでしょうか。図2は、南極の氷柱の分析およびハワイ島マウナロアで観測された大気中の二酸化炭素濃度の推移です。図1の変化とよく似ています。
大気中の二酸化炭素濃度を増やすのは、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の使用です。図3は1880年以降の化石燃料使用量の推移です。1960年代以降の増加が大きいです。
図1、図2、図3を並べると、地球温暖化の加速〜大気中の二酸化炭素濃度の増加〜1960年代以降の化石燃料使用の増加の3つが繋がることがわかります。
一方、過去2000年くらいの気候の中で比較すると別の姿も見えてきます。図4は屋久島の屋久杉の年輪調査から過去2000年間の気温推移を推定した結果です。屋久杉が光合成を行う際に「質量数12の炭素を含む二酸化炭素」と「質量数13の炭素を含む二酸化炭素」の取り込み比率が温度によって変化する現象を使って調査しています。
この調査の結果、西暦1000年頃に現代と同じくらい暖かい時期(中世温暖期)があったこと、1600〜1800年頃に寒い時期(小氷期)があり、現代に向け約200年かけて暖かさが回復していることがわかります。
引用した本はこちらではその間の大気中の二酸化炭素の濃度はどうだったでしょうか。南極の氷柱の分析で知ることができます。暖かかった1000年頃や、寒かった1600〜1800年頃の二酸化炭素濃度はほぼ同じであり、別の自然要因でも温暖化や寒冷化が起きることがわかります。
図1〜図5で見てきた内容から、温暖化は表のAに示す人間活動要因とBに示す自然活動要因を含むと考えられます。2つの要因の比率はどうなっているでしょう。
図6は、図4の一部を拡大したものです。小氷期からの回復の様子を見ると、化石燃料の使用量が現在の1/100未満だった1800年前後に+0.5℃/100年の温度上昇傾向があり、これは現在まで続いている可能性があります。
図1の1880年から2019年までの地上表面の気温上昇を大まかに小氷期からの回復と人間活動による温暖化に分けてみましょう(図7)。
緑の点線が1800年代から続く小氷期からの回復、赤の点線が人間活動による温暖化です。おおよそのイメージは小氷期からの回復が+0.7℃、人間活動による温暖化が+1.2℃となりました。
次のページでは、世界の各地の温暖化がどうなっているかを見てみたいと思います。