前のページでは館野(茨城県つくば市)の温暖化について季節による違いを調べましたが、このページでは日本の温暖化を追跡している15地点について、季節による違いを調べます。
日本の温暖化を追跡している15地点をまとめた場合の1989-1993と2015-2019の各月の平均気温(15地点の平均気温)を図2に示します。
1989-1993→2015-2019の間の各月の平均気温の変化を棒グラフにして確認すると図3のようになります。館野と同様に5月、7月の気温上昇が大きいです。また、温暖化が進むなかで2月、1月、11月は逆に寒くなっていることがわかります。(12月は変化無し)
二酸化炭素濃度は植物の光合成により夏は低下します。季節による温暖化の違いを二酸化炭素では説明できないことは前のページで確認している通りです。
もう一つの温室効果ガスである水蒸気(絶対湿度)を確認します。(図5)
各月の絶対湿度の変化を図6に示します。7月、8月の絶対湿度上昇が大きいです。また、1月と2月は絶対湿度が小さくなっています。
日本の温暖化を追跡している15地点のうち、全天日射量観測が継続されているのは残念ながら7地点でした。それでも北海道から沖縄まで網羅できているので全天日射量の変化についてはこの7地点のデータで代用したいと思います。残りの8地点の全天日射量観測も復活することを祈ります。
7地点の全天日射量を図8に示します。1989-1993から2015-2019の間に全天日射量は年間で約8%大きくなっています。
各月の全天日射量の変化を図9に示します。5月の全天日射量上昇が大きいです。また、12月は全天日射量が減少しています。
全天日射量の変化は「太陽光からのエネルギー供給量の変化」を、絶対湿度の変化は「地表付近の大気がエネルギーを受け取る能力の変化」を意味します。この2つを合わせたものは気温の変化と比例関係を持つはずです。y軸をA、x軸をBとしてグラフを描いてみます。
Bの中にある「任意の係数」については、「絶対湿度」を「地表付近の大気がエネルギーを受け取る能力」として数値化するにあたり何らかの係数が必要なものだと思ってください。
月平均気温の変化(A)と、全天日射量の変化と絶対湿度の変化を足し合わせたもの(B)の相関を図10に示します。前項で触れたBの係数を1.9とした時、=0.89の相関が得られました。
館野と同じく日本全体の最近30年間の温暖化が全天日射量の変化と絶対湿度の変化で概ね説明できることになりますが、次のページでは気温と絶対湿度と全天日射量の3つのデータが揃う日本国内の観測地点をさらに増やして調べます。