日本は南北に長く、熱帯の石垣島から、温帯の本州/四国/九州、亜寒帯の稚内までの温室効果を確認できます。現時点で通年の高層気象観測データがある1989年から2019年までの変化を見ます。
ケッペンの気候区分はこちら石垣島の午前9時の高層気象観測結果から、1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図2に示します。地上(高度14.8m)の気温差は0.87℃です。図をタップしてもらうと1989-1993 → 2015-2019の間の温室効果を確認できます。地表近くをよく見るため温室効果のグラフの高度の軸は対数表示にしています。
前ページでも確認した館野(つくば市)の午前9時の高層気象観測結果から、1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図3に示します。地上(高度27.4m)の気温差は1.05℃です。
稚内の高層気象観測結果の午前9時の高層気象観測結果から、1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図4に示します。地上(高度11.7m)の気温差は0.11℃です。
石垣島、館野(つくば市)、稚内の1989-1993 → 2015-2019の間の温室効果の比較を図5に示します。地表の温暖化は館野が最も大きくなっています。高度9000m付近の温暖化とその上空の寒冷化は石垣島が最も大きくなっています。稚内は地表から高空までほぼ寒冷化しているように見えます。
館野を例に季節による温室効果の違いを見ます。これまで見てきた午前9時の観測結果を元に判断してよいか、日平均気温の観測結果と比較したのが図6です。両者の挙動はよく似ており大丈夫そうです。これを見ると5月と7月の温暖化が大きいのがわかります。
5月の1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図7に示します。地上(高度27.4m)の気温差は2.96℃です。図をタップしてもらうと1989-1993 → 2015-2019の間の温室効果を確認できます。通年の温室効果が地表付近と高度9000m付近にピークを持つのに比べて、5月は地表から高度3000m付近まで広い範囲で温度が上昇しているのがわかります。
7月の1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図7に示します。地上(高度27.4m)の気温差は2.62℃です。5月ほどではないですが、地表から高度1000m付近まで広い範囲で温度が上昇しているのがわかります。
1月から12月までの各月の1989-1993の平均気温と2015-2019の平均気温を図9に示します。高度15000m〜20000m付近では、地表が夏で暑い時期に気温が低くなるのが面白いです。
1月から12月までの各月の1989-1993 → 2015-2019の間の温室効果を図10に示します。図9に比べると月ごとの違いが大きく見えます。
次のページでは温室効果になぜ季節差があるのか調べたいと思います。