地球温暖化(5)

1. 人間活動による二酸化硫黄排出

前ページに掲載した人間活動による二酸化硫黄排出量のグラフ(図1)の2010年以降の排出量(Hot spotとOther)について説明します。

2. 世界の二酸化硫黄排出 Hot spot

世界の二酸化硫黄排出が特に多い場所は Hot spotとしてNASAが観測しています。(図2)

3. Hot spotからの二酸化硫黄排出量減少

Hot spotからの二酸化硫黄排出量は全体としては減少しています。中国で排煙脱硫装置の導入が進み、二酸化硫黄排出量が大きく削減されています。(図3)

4. Other(Hot spot以外の国)の二酸化硫黄排出量

Hot spot以外の国(先行して二酸化硫黄排出削減が進められた国)については、最近の日本の二酸化硫黄排出量削減率(-2.9%/年)を参考にしています。(図4)

5. 日本、ヨーロッパ、アメリカの地上大気中の二酸化硫黄濃度推移

ヨーロッパ諸国でも日本と同様に先行して二酸化硫黄排出削減が進められました。地上大気中の二酸化硫黄濃度推移は日本とほぼ同じです。Hot spotのひとつであるアメリカでも二酸化硫黄濃度は年々低下しています。(図5)

ヨーロッパの二酸化硫黄濃度推移の引用元はこちら

6. 人間活動による二酸化硫黄排出と火山活動による二酸化硫黄排出

人間活動による二酸化硫黄排出と火山活動による二酸化硫黄排出を比較すると、おおよそ図6のようになります。1950年以降の火山活動による二酸化硫黄排出は人間活動による二酸化硫黄排出に比べて小さい値で推移していることがわかります。

7. 過去600年間の大気中の二酸化硫黄濃度推移

過去600年間の大気中(主に北半球)の二酸化硫黄濃度推移をスヴァールバル諸島(ノルウェー)の氷河で採取された氷床コアの硫酸イオン濃度で知ることができます。(図7)

1970年頃に大きなピークがありこの頃の人間活動による二酸化硫黄排出と対応していると考えられます。現在(2018〜)の二酸化硫黄濃度は、人間活動による排出の削減と火山活動による排出が小さいことにより、1800年代の1/10程度になっているのではないかと思います。

氷床コア情報の引用元はこちら

8. ローカル化している二酸化硫黄の日傘効果

大気中の二酸化硫黄濃度は平穏な火山活動により過去600年間で最も小さいレベルになっていると考えられ、その日傘効果はローカル化しています。図8はテキサス州の郡単位の温暖化傾向(100年あたりの気温上昇)と二酸化硫黄分布を比較したものです。

化石燃料発電所の多いダラス以東の郡とメキシコ国境越しに石炭発電所から二酸化硫黄の流入のある南西部のいくつかの郡で日傘効果により温暖化が緩やかになっています。